ラ・カウンセルラ

2003年9月5日
「結局男の人ってヤれればいいんですか!?」

美紀ちゃんはそういいながらモスコミュールを一気に空けた。そしてテーブルに

ガン!

と叩きつけて、

「…チェックメイト」

…わけわかんねえよ。
誤解されないように状況説明をすると、バイトの打ち上げの二次会の安居酒屋。運悪く美紀ちゃんの隣になってしまい、彼氏に関する愚痴を聞かされるハメにあってるという。美紀ちゃんバイトで見る限り、普通の子なんだけどなぁ。

「何モノローグ入ってるんでっすか!これじゃカナタさんが主人公みたいじゃないですか。そういうのはカッコイイ人にしか似合わないんですよ!例えばオダギリジョー!!!キャーカッコイイ、素敵!」

「いや、それはサトラレだろ?」
酷い言われ方されながらも冷静に突っ込む僕。

「そんなんだからナオコ(元カノ)にも愛想つかされるんですよ?いいですか?だから男の人ってヤれればいいんですか!?」

完全に酔ってら。「いや、ナオコさんのことは関係ないから」

ヤバイ、完全にペース持ってかれてる。

「カナタさん、私の話ちゃんと聞いてなかったんでしょ?」

「いや、聞いてたよ。あれでしょ?遠距離の。東京からはるばる来た彼氏さんとの待ち合わせに四時間遅刻して、結局彼氏の部屋つくなり爆睡したってやつだろ?いくらなんでも四時間は酷いって」
「だからって会うなり部屋に連れこむ方がおかしいです!」
「ん?ちょいまって、待ち合わせは名駅?」
「そうですよ」
「で、名駅からすぐのホテルっていうと…」
「ええ、上のマリオットアソシアですよ」

げ、あの高級ホテルかよ…高かったろうに。せっかくいいとこ泊まろうとしたのに四時間遅刻されて、お預け食らって…。

「そりゃかわいそうだわ、彼氏さん」
「いいんです!あんな奴。アタシの横で深夜にAV見てたんですから!」

「へえ、マリオットでも有料チャンネルあるんだ」

「変なところで感心しないで下さいよ…寝惚けててあんまし覚えてないですけど」

「ふーん、ま、どうでもいいけどさ。美紀ちゃんには性欲ないわけ?」

「なっ!なに言ってるんですか!セクハラですよ」
「いや、なんかね。全部が全部彼氏の性欲が悪い!みたいな感じだからさ『男の人ってヤれればいいんですか!?』っていう子に限って自分のことになると黙っちゃうんだよね。自分の非を性欲に責任転嫁するのはやめたら?」

「…わかったようなわからなかったような」

「じゃ、この後二人でどこかに…」
「嫌です!」

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